――第八章――

魔術師行方不明事件。
関係無いって思ってたけど。
わたしにはあったんだ・・・。
魔術じゃないけど、ある能力をもってる。
でも・・・・。どうなの?
本当に狙いはそこ?違うかも。
・・・考えててもわからない。はぁ、最後に唄った歌が
野菜の大売出しの歌(作詞作曲編曲:わたし)だなんて。
もっと良い歌歌えば良かった。

・・・・

あきらめてどうするの?
あきらめちゃ駄目。やってみなくちゃ。
やってみなくちゃわからないよね、お母さん。
わたし、あきらめないよ。

祈りは、届く。


「ど〜?見つかった?」
やる気の無いライフィルはごみ箱を覗いていた。
「見つからない・・・って」
少し間が空いた。
「ライフィル、俺達が探してんのはネコのエサじゃないんだぞ!?
人間なんだ!!」
「わかってるわよ〜。でもさぁ、でもさぁ。
     疲れた」
蓮弥は黙って人探しを続けた。



叫んでみよう!!
届くかも・・・!!
そんな希望をもって、わたしは叫ぶことにした。
「ん〜、んんん〜!!!」
口がふさがれてるのに、なにやってるんだとろう、わたし。



「・・・?何か、聞こえなかったか?」
「え?何も?」
蓮弥は声がしたであろう方向に顔を向けた。
「『ん〜』って、聞こえなかったか?」
しばし、沈黙が高速で走った。
「それって、捕まってて声が出せないとか。じゃないの、蓮弥おにいちゃん」
「・・・お、な〜る」
そう言ってグーにした右手を開いている左手のうえに乗せた。
「じゃあ、助けなきゃ!!」
「でも、どこにいるの?」
焦るルエに冷静な口調でライフィルが問う。
「・・・こっち。そうだ、こっちだ・・・!!」
そういって連弥は走り出した。
急いでみんなは彼のあとを追う。


誰も住んでいない家に辿り着いた。
家の前で蓮弥たちは躊躇していた。
すると、中からいかにも悪に手を染めていそうな感じの男達が出てきた。
数は・・・10・・・・17人。
「お前等、俺達にようか・・・?」
低い小さい声で言ってきた。
すると、ライフィルが蓮弥のとなりにいって小声でいった。
「ど、どうするのよ?こんな奴等にさらわれたっていってら、それ相応のことした子なんじゃない?」
「・・・違う、のかなぁ」
苦笑で男達を見つめ、小声で言う。
「違うのかなぁ、じゃないでしょ!?」
こそこそと話していると、相手の男達もこそこそと話し始めた。
「何、話してるんだろうな?」
蓮弥がライフィルに問う。
「し、しらないよぉぉ。もしかしたら、始末のつけ方の相談とか?」
「そ、そんな、まさか・・・。」
突然
「そこのガキ、どっかで見たことあるよなぁ?」
その言葉を聞いてライラックがガイの後へと隠れる。
「痛い事しないよ〜、大丈夫。すぐに死ぬから、傷みは無いよ」
男の一人がそう言ってライラックへと近づく。
ライラック、と名前を叫びながらライラックの元へとかけよる。
そして、男の持っていたナイフを槍ではらいおとす。
「に、にいちゃん・・・!!」
少し、ガイから体を離してライラックは蓮弥を呼んだ。
「ライラック、どうしてお前がこんな奴等と知り合いなんだ?」
少し黙って、そして答えた。
「例の、魔術師行方不明事件の関係者だよ」
そういって、またガイの後へと姿を隠す。
その時、謎は解けた。
どうして、こんな連中にその声の持ち主が狙われたのか。
それは、こいつ等が魔術師行方不明事件の関係者で、その声の持ち主の力が欲しかいといわれて、さらったんだ。
ということは、声の主は魔術師・・・!!

そんなことより、今はこいつ等を倒すのが先決だ!
そう心に決め、男達へと挑んでいく蓮弥。

「あのガキの為に戦ってんのか!?」
槍をなんとかかわしながら、男は聞く。
「それも、あるけど。理由はもう一つある」
そこで一撃を食らわせる蓮弥。
そして
「教えないけどな!」
今までよりも更に力を込めて切る。
炸裂する蓮弥の攻撃に男はついていけずついに一撃くらわせた。
「ぐぅぅぁっ!!」
更に一撃、一撃。

「ルエちゃん、背後を合わせて戦うのよ?」
「そんなこと、わかってます!ミスはなしでお願いしますよ、ライフィル!」
ルエとライフィルは力を合わせて戦う。
「ルエちゃん、ちょっと・・・我慢してね!」
そういって男の方へルエを押す。
「え?え?」
男の目の前まで来て思わずナイフを振る。
運良く男にあたった。
「い、いてぇぇ!!」
男は情けない声をあげた。
「あれ?あたっちゃった・・・。」
ただただ男を見つめるルエ。
「こ、このぉぉおおおお!!」
男は飛び上がりルエへとめがけて飛んできた。
と、突然。
ルエの上に何かが乗っかってきた。
「きゃぁぁ!?」
「ごめんね、ルエちゃん!」
そういって男に飛び掛っていった。
全体重をかけたロッドが男の頭へとのめり込む。
男は奇妙な声を上げながら倒れた。
ルエは顔を地面につけた状態でつぶやく。
「もう、あたしは踏み台じゃない・・・」
そんなことはおかまいなしのライフィルは、次への標的へと向かう。
「そんな所で倒れてる場合じゃないよ!!」
そういってロッドを振りまくる。
相変わらずの状態でつぶやく。
「この人と組むのやだぁぁぁぁ・・・・」

男の少数団が炎に囲まれている。
「く、くそぉぉ」
男達は何も出来ない自分に苛立っていた。
「お前等ザコが、俺に勝てると思ってんのか?有り得るわけ無いだろうが!!」
炎の勢いは増し、男達を倒す。

それを横から見るライラックは一言漏らす。
「はぁ〜、やっぱり一番強いよなぁ」
ライラックを黒い影が包む。
「よそ見してんじゃないぜェ?」
男はライラックに向かって斧を振る。
「そんな素早さの無い武器が僕に当たるわけ無いだろ♪」
斧を簡単にかわし、上空へと飛ぶ。
そして、上からヨーヨーをぶつける。
ぶつかると火花を飛ばして相手の皮膚を削る。
「ぬぅぅぅぅ・・・っ!!」
ヨーヨーが離れたあと、男はその部分を片手で覆う。
回転しながら戻ってきたヨーヨーをまた放つ。
今度は、肌を削るものではなく、ヨーヨーの触れた先から電流が流れる。
男はその場で動けなくなって倒れこむ。

なんとかその場の全員を倒し、中へと入る。

そこには一人の女性が倒れていた。
「罠?」
ライラックが小声でいう。
すると女性がは上体を起こした。
「ねぇねぇ、起きたみたいだよ?どうする?近づく?」
蓮弥の服を引っ張って小声でライフィルが聞いた。
「少しだけ、近づいてみるか?」
その言葉に、全員がうなづいた。


外が騒がしいなぁ。何かあったのかな?
そんなことをぼんやりと思っていた。
何もする気がおきなくて、考えることすらめんどくさい。
このまま死んじゃおうかな?
いや駄目か。
お母さんに申し訳無いもん。
刹那。
何かを嗅がされ眠りに落ちた。

気がつくと、手足、口が自由になっていた。
そしてもう一つ。
誰かが少し離れた所にたっていた。
一人じゃない。
・・・・5人・・・?
何か、話してるみたい。
そしてわたしは上体を起こした。
すると、少しだけ、近づいてきた。

殺気。殺気があるみたい。
あの人達、気付いているのかな?
気付いてない・・・?
どうしよう。どうすればいい?
けど、知らせなきゃ。
あの人達、やられちゃうよ・・・!!


「どうしたんだろう?」
ルエが女性をうかがいながら誰かに質問する。
「・・・やっぱり罠なんだ」
それに答えたのかわからないがライラックがもらした。
すると
「こちらに来てはいけません!!」
女性はそう叫んだ。
その瞬間。
女性の後から陰が3つ出てきた。
一人は女性を掴み、刃物を付きつける。
あとの2人は蓮弥達への相手のようだった。
「あなたたちは、あなた達は卑怯者です!!」
その女性に刃物を付きつけている男が言う。
「それがどうした?悪い者達にとってはこれが普通だ」
「ならば、わたしは悪を許しません!!わたしを甘く見ないでください!!」
そういって女性は口を小さく動かせた。
口が動くのを止めると、女性の目の前にお札が現れた。
それは光っているようで周りには何かの氣がついてた。
それは、その男の前に行く。
そして、男はその場に倒れこんだ。
蓮弥達には、なにがおきたのかわからなかった。ただ、その札が男の何かを吸い取ったようには見えた。
そして、気がつくと男2人は倒れた男に駆け寄ろうとしていた。
「あなたがたが危害を加えないというのら、わたしも何もしません。さぁ、早くこの方をつれて何処かへいってください。わたしの前から立ち去ってください!」
男2人はそそくさと倒れた男をつれて消えてしまった。
彼女はゆっくりと蓮弥達の元へ歩み寄ってきた。
「あの、大丈夫。ですよね?」
何を言っていいのかわからなかったので変な言葉になってしまった。
「はい、大丈夫ですよ。それより・・・」
少し間を置く。と
「お母さんの言う通りですね。テレパスが届いちゃいましたv」
いきなり笑顔を作ってわけのわからないこと言い出した。
「は・・・?」
誰もがそう言いたかったであろうせりふを蓮弥がいった。
「ふふ。どなたか知りませんが有難う御座いました。危うく変な集団へ入れられるところでしたよ」
「あの〜。一ついいですか?」
今まで疑問だった点を尋ねてみることに。
「あなたは、巫女ですか?そんな服着てるし」
「ええ、そうです。一応巫女です」
そして、「あ」と小さく呟いた。
「わたしは、月夜といいます。巫女をしています」
「俺は蓮弥。あそこにいるのがルエで、その隣にいるのがライフィル。奥の男性がガイ。その横にいるのがライラック」
「そうですか、有難う御座いました」
とにかくはここから出ると言う事になった。

そして、家から出るなりライラックが言った。
「おねぇちゃん、僕達の仲間にならない?」
「・・・仲間、ですか?」
しばし考えて言う。
「大道芸人・・・ですか?」
いきなり辺りが静まり返った。
「違うわよ!!どこが大道芸人なの!?どっからどう見ても、冒険者でしょう!!」
ライフィルが飛びつく。
「ああ、それはすいません」
そのあとに小さく「てへ」といった。
「お、おねぇちゃん。強いし」
「・・・ん〜、わたしは不用なのではないでしょうか?」
「どうしてさ!!必要だよ!!」
「充分強い方々のようですし」
その言葉に蓮弥が声なくうなづく。
「おねがいだよ〜。女性の中では一番だしさぁ」
「・・・女性の中で、ですか?」
そういって月夜は辺りを見まわす。
「そうですね、そのようですのでいいですよ」
悪気はないようだが、いちいち気のさわる言い方だった。
「あのねぇ」
そこまで言いかけて、やめる。
さすがのライフィルもあきらめたようだった。

そのあと、彼女に自分の家に来ないかと誘われ、行くことになった。
その道の途中のこと。


さっきから、ルエは一言も喋ってはいなかった。
「どうしたんだ?さっきから」
「ん・・・?うん。ちょっと」
そういってまた黙りこむ。
「さっきの言葉で落ちこんでるのかなぁ?」
ライフィルが軽く言う。
「それはないよ、ライフィルねぇちゃんじゃないもん」
ライラックが否定する。
そのあと、しばしケンカをはじめる。
「・・・あの、月夜?」
「はい、なんですか?ルエさん」
「あの、ヤラって女性を知ってますか?」
蓮弥が反応した。
ヤラって、たしかルエの母の名前じゃ・・・。

「・・・ごめんなさい、知らないです」
「そう、ですか。すいません、変なこと聞いちゃって」
そういえば、何か俺も聞きたいことがあったような。
蓮弥はふと思い出した。
「あ、あの!俺も聞きたいことが・・・!!」
「なんでしょう?わたしって何かあるんですか?」
「えっと・・・みんなの前じゃちょっと言いにくいんですけど」
そのセリフをみんなはある意味で解釈した。
「にににに、にいちゃん。いきなりだね」
「ま、まぁ。言ってみれば?二人っきりに、するからさ〜」
ライフィルが目をそらしながら言った。

みんなと少し距離をとって本題へと。
「えっと。ん〜、何て言ったらいいんだろう」
月夜はうつむいたまま手を顔に持っていっていた。
蓮弥は言葉を探していた。
すると
「ああああ、あの!!わたし、いきなりこ、こく、こくは・・・」
少し間をおいて
「告白は困ります!!」
蓮弥は何もコメントをしなかった。
「わたし、あまりあなた方のこと知りませんし」
「いや、違うよ。俺が言いたいのはそれじゃない」
月夜の前に手を出して止めるポーズをした。
下げていた顔をすっと上げて。
「俺を呼んだことはないか?数日前。俺・・・っていうか。誰かを」
そう、俺がここに呼ばれた日。
姉の声とダブってもう一人の女性の声が聞こえた。
その女性の声。この人に似てる。いや、この人だ!!
蓮弥はそう確信していたが
「いいえ、わたしは何もしてません。ずっと神社の見張りと、掃除をしていました」
「そう、だよな」
そのあと、みんなの元へと帰ろうとした。
刹那。
「もしかして、蓮弥を呼んだのってわたしのお母さんじゃないかな・・・?」
隠れて聞いていたルエがうつむき加減にそう言って姿を現した。
「・・・ルエ」

わたしのお母さん。記憶ないけど、でも。
聞き覚えがあるの。
―名前聞いてたのか?
うん。
お父さんにお母さんの名前だけは聞いたわ。
とっても優しくて、綺麗だったって。
聞き覚えのある優しい声はお母さんの声だって。
そう言ってたよ。
だから、月夜の声に聞き覚えがあって。
もしかしたら、つながりあるのかなぁって

「ってことはさ、俺がもし。ルエのお母さんに呼ばれてたら、偶然じゃなくて必然だろうな」
蓮弥が少し真剣な顔でいった。
「もしかしたら、わたしの能力と何か関係があるのかもしれませんね」
その言葉に全員が耳を傾けた。
「いつか、わたしの記憶が戻ったらわかるんでしょうね」
少し微笑んで言った。
「月夜って記憶ないわけ?」
ライフィルが問う。
「う〜ん。そうなります」

どうやら俺達の旅は目的が増えたみたいだ。
一つめは、俺が元の世界へ帰ること。
二つめは、今この世界の状態をなおすこと。
三つめは、月夜の記憶を取り戻す。
なんとなく、この三つには共通点があるきがする。
四つめは、魔術行方不明事件でリーブさんを助ける。
こう思うと、気が重いなあ。


運命。
これは、偶然のものか必然のものか・・・。
神のイタズラか。


彼等は改めて旅の目的を確認し、次の目的地を決める。



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