――第七章――

目的地は「ブエルラ」。
新しい仲間を求め、新しい情報を求め。

目的地が同じカフェと目的地まで同行することになった。
いろいろな情報を持っているというカフェは、5人に必要な情報を与えた。
まず、今の最新の事件の情報。

魔術師行方不明事件は現在も相変わらず、いやそれ以上に増えていると言う。
冒険者の中に魔術師がいると狙われる、という噂も出ている。
実際の所、確信はない。
現在、狙われやすい魔術師に対しての共通点が明らかとなった。
1、弱くなく、強くない。
2、有名な師匠を持つ。
3、女である。
5、攻撃系魔法が得意である。
コレは大半の共通点で例外もある。
例外とは
『強い』ということ。
これは、与えたダメージによるものでなく、体内にあるマナ(魔力)が普通の魔術師の何十倍もあるということ。
魔術師は体内にあるマナをどのくらい出せるか、どれほどの威力か、でランクが決まる。

人が壁や物に飲まれる事件。
コレに関しては全く変わっていない。
変わったといえば、戻ってきた人が少数出た、と言う事。
飲まれる人、戻ってきた人に関しては共通点は無いという。

獣の狂暴化にも変わりは無いという。
だが、ペットが狂暴化したという事があった。これも少数ではあったが何らかの関連性があると見て、調査中だという。

最近、異変は増えてきているらしい。
そこで、各国の強き権力者たちは冒険者に原因の究明を要求しているという。
報酬も、あるというが。


「そんなに・・・・。」
驚きを隠せない蓮弥が声を漏らした。
「もう少し、情報が欲しいのよ。そうすれば、なにかわかりそうな気がするの」
カフェはまっすぐ前を見たまま答えた。
なにかを思い出したようで蓮弥を見た。
「な、なんですか?」
急に振り向いたカフェに驚いた。
「そうそう、君ね。異世界から来た、なんて絶対言わないほうが良いわよ」
「どうしてですか?」
「こんなに騒がれてるのよ?異世界から来たなんて言ったら」
すこし間をおいて。
「予言の通りになったっていってあなたに頭を下げるでしょうね。

どうか、お助けください

ってね」
その言葉に誰もが言葉を失った。
その通りだ。今までそんな意識してなかった。
もし、言ってしまっていたら。
もし、ばれてしまっていたら。
もし・・・・。

そんな話をしている間に、夜を向かえてしまった。

「どうする?」
なんとか月明かりでみえる皆に向かって蓮弥が問う。
「どうするって、まだ遠いし。野宿しかないんじゃない?」
ルエが答える。
「ええ〜。野宿〜!?」
嫌そうな口調でライフィルがやや大きな声を出した。
「仕方ないよ、ねぇちゃん。僕だってふかふかのベッドで寝たいもん」
すると、ガイが一言漏らした。
「この近くに、兄貴の家があったな・・・・」
その言葉に、全員の耳が傾いた。
「ええ!じゃあ。泊まれる?」
ライフィルが目を輝かせてガイに近づく。
「・・・この人数じゃ、無理だな」
「なんとか、ならない?」
「兄貴は今、デリケートだしなぁ」
無理だろう、そういってさっさと歩き出してしまった。

場所を探し初めて1、2時間が経った。

すると。

「ガイ・・・?」
男のひとの声が聞こえた。
「・・・兄貴、か」
その声にガイが答えた。
「どうしたんですか、こんなところで。しかも、お仲間連れで」
「まぁ、いろいろとな。そんな事より兄貴」
「なんです?」
「今日、こいつら泊めてやってくれねぇか?」
しばし考え、答えを出した。
「・・・。いいですよ」

ガイの兄の家に泊まることになった。
兄の名前はグカ。
結婚していて妻もいた。妻の名はルラナ。
小さい家だが、なんとか皆が眠れそうだった。

「無理言って悪いけど、この子達と別にしてくれる?」
そう頼んだのはカフェだった。
「いいですよ、一人ぐらいならなんとかなります」
カフェさんはどうしてあたし達と一緒に行動しないんだろう、とルエが小声で言ってきた。
蓮弥は答えることが出来なかった。

次の目的地にいって、何をするんだろう。
何が出来るんだろう。
どんな人と逢えるんだろう。
どんな情報を得られるんだろう。
どんな、どんな道が切開けるんだろう。
どんな・・・・

そこで、記憶は消えた。
どうやら、そこで寝たようだ・・・。

次の日、グカさんとルラナさんに礼をいって出た。

「時はもう動いてます。逃げないでください。

投げられた賽はもう落ちてきません」

最後のグカさんの一言。きっと忘れないだろう。
俺も同感する。
その通りだ。
逃げない。絶対に逃げない。逃げたくない。


―街「ブエルラ」―

「今日は野菜の大売出し〜♪1ヶ月分かって、節約〜♪」
大通りに入る小さい小道を、その子は機嫌良く歩いていた。
籠を大きく振って、腕を大きく振って。
前をまっすぐ見て。目を輝かせて・・・。
その子は、長い黒髪を揺らしながら鼻歌混じりで歌っていた。
長い髪は太陽の光を浴びてきらきらと輝いていた。
瞳も、心もきらきらと。

その輝きは、いきなり黒い影に包まれた。
叫びもなかったが、瞳はおおきく見開いた。


「うう〜」
そういってぐっと背伸びをした。
「蓮弥、昨日何時までおきてたの?」
「昨日?覚えてないよ。布団の中で考え事してただけだし」
ルエの質問に気の抜ける声で答えた。
「わたしは行くから。それじゃ、また逢ったら」
そう言ってさっさとカフェは街中に消えて行った。
「あの人って、行動とか早過ぎじゃない?」
ライフィルが嫌そうに言い放った。
「そんなことより、さっさと入ろうよ。ねぇ、ガイにいちゃん?」
「ああ、さっさとすませよう」

街の中に入って行った。

ガイがいっていた、その仲間になってくれるという人の元へやってきた。
ノックをするが、出てこない。
「留守か?」
ガイが声を漏らした。
すると
「留守ダヨ。アト1ヶ月グライハ戻ラナイ。戻ラナイ」
家の角の方から声がした。
どうやら、喋れる鳥らしい。
エサは少しだけ置いてあった。
それでも、だれかが毎日面倒を見ているようだった。
「・・・。珍しいな。
仕方が無い。こいつはあきらめるか」
そういっていこうとしたガイにライラックが飛びついた。
「ちょ〜っとまった!!おにいちゃん!このパーティにはもう一人ぐらい強い人が欲しいんだ!!」
その言葉に
「待った!ライラック!!それって、俺は抜かされてるのか!?」
蓮弥が必死になって抗議する。だが
「だって、どう見ても。
弱そうじゃないか」
「よ、よわ・・・・!?」
がっくりと肩を落とし、絶句した。
女子らはくすくすと笑い。
嫌らしい笑みをライラックが浮かべ。
ガイも影で笑う。

緩やかに流れるヒトトキ。
優しく吹く風。
皆の笑い声。



暗い。どこ?
わたし、どうなっちゃったんだっけ?
ああ、そうか。誰かに襲われたんだ。
・・・手足が結ばれてる。口も、ふさがれてる。
どうする気なんだろう。わたし、なにか襲われるようなことしたっけ?
ううん、してない。
・・・・・
あ・・・・。わたし。わたし・・・・!!


「どうしたの?蓮弥」
「ん?いや、何でも無いよ、ルエ」
早く行こうと皆が誘っている。

気のせいか・・・?
誰かの声がした気がする。
助けを、求めてた・・・?
わからない。
やっぱり。気のせい・・・・。

あ。

あの声・・・!!
あの声。あの声だ!!
誰だ?誰なんだ?どこにいるんだ?
探したい。探さなきゃ。
なんか、わかる気がする。
場所が。何となくだけれど。

「みんな、ちょっといいかな?」
勇気を出して、連弥はみんなに言った。
みんなは、それを笑顔でOKしてくれた。


誰だかわからないけど。きっとなにか掴めるはず・・・!!



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