――第四章――

街への入り口を後にしてルエは元気良く
「サムトリカ大陸で、一番大きな街”ラエティア”で〜す!!」
「ん?ちょっとまてよ?
ここの大陸の名前、サムトリカっていうのか?」
「うん。そうよ。
でも、そんな細かい所まで気にしないでよ。
男の子でしょ?」
そういって街に入っていった。
久々にこの街に来た。
最後に来たのは4年前。父と共にきた。
わくわくしていた。
つい、興奮してしまった。
そのせいだろう。
蓮弥を置いてきてしまった。
「あ、やば!!」
いそいで入り口まで戻ったものの、そこに蓮弥の姿はなかった。
仕方なく、街の中を歩き回ることにした。
と。
「あ、ここ。お父さんときた所だ。
蓮弥、お金もってないから買えないだろうし。
買っていこうっと。」
店の中へ入っていった。
店の雰囲気はあの時のままだった。
なつかしい。ずっといたい。そう思えるほど懐かしい雰囲気だった。
「おやぁ?ルエちゃんかい?」
その声は前に来た時とかわらない、店の主人の声。
「あ、はいそうです!!
おじいさん、おひさしぶりです!!」
「いや〜。女の子は成長がはやいね〜。
どこのべっぴんさんかとおもったよぉ。」
「やだなぁ。おじいさんってば!!」
つい話が盛り上がってしまう。
どれほど話しただろうか。
1時間?いや、2時間。
「あ、おじいさん。あたしもういきますね?」
「ああ。また今度な」
「はい!!武器、安くしてくれてありがとう!!」
そういって店を出た。
(あたしってば何してんだろ〜。もう、おばさんじゃないんだからぁ!!)

辺りは夕焼け色に染まり、夜になるのを告げていた。
「あううう〜。どうしよう〜。」
どうすればいいのかわからなくなっていた。
気がつくと、ある一ヶ所にゴロツキ達が集っていた。
危ないから、変なところには近寄っちゃ駄目だよ?
父からいわれた一言が頭をよぎった。
けど、もし。
あの人達に囲まれているのが蓮弥だったら・・・?
そう思った瞬間、いてもたってもいられなくなった。
すぐ側までいった。
けど、ホントに中にいるのは蓮弥なの・・・?
「てめぇ、一人でこの人数相手にするきかよ・・・。」
一人・・・。
でも。まだわからないし。
どうすればいいの・・・?

刹那。

爆風のような強風が吹いた。
自分をその位置に保たせるのに精一杯で何も覚えていない。
気付いたらゴロツキ達は四方八方に飛んでいた。
煙が辺りを包んでいて煙の発生したところがよくわからない。
人影が一人。
目を凝らしてみるが良く見えない。
誰・・・?蓮弥?
ううん。違う。
優しく風が吹いた。
煙が風にのって消えていく。
姿がはっきりと見えた。男の人。
こちらに気付いたようで、目があった。
「誰だ。俺にようがないのなら俺の前から消え失せろ。」
冷たい。暖かい心が見えない。感じられない。
「え、あの。すいません。人を・・・。探していて。もしかしたらって思って。
そしたら違って。えっと。あの。」
「用がないならとっとと消え失せろっていっただろうが!!」
足がすくんだ。恐い。
背後に気配を感じた。
振りかえると大きな体つきのがっちりな体格の男がルエを襲おうと棍棒を振り上げたところだった。
「き、きゃぁぁ!!」
とっさに腕で顔をガードしようとした。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!?」
そっと目を開くとそこに男はいなかった。
「え・・・?」
「ジャマなんだよ!!」
それがどっちに向けて言われた言葉なのかわからなかった。
ゴロツキを倒したその男はゆっくりとルエのほうへ歩いてきた。
「てめぇ、その短剣は飾りかよ!」
「うっ。
これは・・・。」
飾りじゃない。
これは・・・。小さい頃に、お父さんが私を守ってくれた時に使ってた短剣。
だからあたしは、短剣使いになろうって思った・・・。
「飾りじゃない!!これは、・・・。」
それ以上言葉はでなかった。
「飾りじゃないんだったら、そいつを使えよ。」
そういってさっていこうとした。
「まって!!」
なぜだか知らないけど、その人呼び止めた。
どうしても、どうしても。何故か・・・。
「あたしに、なにか心得教えて!!
あたし、どうしても。小さい獣にしか短剣振るえなくて。
でも、それってただの弱いものいじめ。
強く、大きな獣に短剣が振るえない。」
「心の弱さだな。
お前のことなんて俺には関係ねぇが、ただひとつ言ってやれることはある。」
意外な一言に釘付けになるように耳を傾けた。
「な、なに?」
ルエに振り返った。
「誰かに、守られたいって気持ちが何処かにあるんじゃないのか?」
そうかもしれない。
でも、それを認めると自分が役立たずってことになる。
認めたくない。
でも、逃げたくもない。
どうすればいいの・・・?蓮弥・・・。
ふと気がつくと男は去っていってしまっていた。
だが、まだ追いつける。
どうする?
「ねぇ!!お願いがあるの!!」
それでも彼は足を止めない。
「お願い!!あたしを強くして!!」
ピタ、と止まった。
「少しの時間で強くなるとでも思ってるのか?」
「違う。そんなこと思ってない!!」
走っていった。男のすぐ近くまでいって足を止めた。
「一緒に、旅をしてほしいの。あたしだけじゃない。もう一人。
蓮弥がいるけど・・・。」
「足手まといにならなかったらついてやってもいいぜ?」
「あなたなら足手まといにならないわ!!」
いきなり、沈黙した。
「俺じゃねぇ。お前らだ・・・。」
静かな怒りの微粒子を感じた。
「あ、ごめんなさい!!」
少しの静寂。
「蓮弥って奴に会ってみてぇな。」
その言葉を聞いて笑顔がでた。
「ホントに!?じゃ、じゃあ仲間になってくれるのね!?」
「まぁ、な。ただし、お前らが役立たずだったら俺は一人で旅を続ける。いいな!!」
「はい!!!」

「今日はもう遅い。宿に泊まることにする。」
「はい。」

彼の名前はガイ。
魔術師だそうです。だからといって体力がないわけではなくて、バリバリにあるんです。
ホントは魔術師にはなりたくなかった、っていってた。
蓮弥と仲良くなってくれるだろうか。

蓮弥に、逢えるかな・・・。

星空が綺麗だった。
窓の外を見ながら私は明日、蓮弥に会えるように祈ってました。

そして、今日という日が終わった・・・。




「ルエって女の子、宿泊してますか?」
宿屋のカウンター。
カウンターにたっているおばさんに、問う。
「ちょっとまててね・・・。」
小さなメガネのレンズをしっかりと持ち、上にあげる。
宿泊客リストに指をあて、一つ一つの名前を確認する。
そう長くは探さなかった。
「ああ、いたよ。」
リストから目をはなし、聞いてきた人に目をやる。
「でも、お前さん。このお客さんとどういう関係なんだい?」
「え、えっとぉ。」
しばし沈黙。
「あ、お友達です!!」
「ああ、そう。」
「あの、でももう良いんで。
それでは、おばさんありがとね!」
そう言い残して彼女は宿屋を出た。
そして心の中でつぶやく。

蓮弥、ルエって女の子。見つけたよ♪

そう、彼女はライフィル。
蓮弥の頼みでルエを探しに来ていた。
急いで宿に帰る。



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