――序章――

その日
不思議な夢を見た。
けど、どうでもよかったのかもしれない。
気持ちだけあって、覚えていない。

ただ何となく
恐かった。
自分が自分でなくて
ずっと遠くにみんながいるような。

すごく恐かった。


「蓮弥、起きて!もうご飯できてるのよ?」


姉の声に・・・
起こされた気もするけど
他の何かにも
起こされた気がする。
何処か、夢とつながってるような。
気のせいかもしれない。
ただ、夢とつなげたいだけかもしれない。

けどやっぱ、
姉以外にも起こされた。

変。

考えれば考えるほどもやもやが晴れていくような・・・気がする。
姉以外の人は・・・女性な、気がする。
でも、はっきりしない。


――第一章――

「いってきます。」
蓮弥は玄関のドアを開きながら姉に告げた。
「いってらっしゃい。気を付けてね。」
それにうなずき、蓮弥は家を出た。

蓮弥の家は姉と蓮弥との2人暮らしだった。
両親はいるものの今は外国に行っている。
もちろん仕送りがあり、今の生活が成り立っている。
蓮弥は姉が病弱だということもあり、バイトはせずに姉の様子を見ている。
姉が病弱で蓮弥が働かないということがバレないように様子を見ている。

「よう、蓮弥!おはよー!!」
「なんだよ、背後から声かけてくんな!」
声をかけてきたのは同じクラスの加藤だった。
「まぁまぁ、そう怒んなって!蓮弥くん♪」
「なんかよくわからんけど、一応死んどけ。死ななくても俺の前から消え失せろ。」
「ひどい。そうやって僕をいじめるんだね!!」
泣くまねをしてきた。もちろんのこと、連弥はそれを無視。
「じゃあな、加藤。間に合わなくてもしれないぞ!」
そう言って加藤を置いて走って駅に向かって行った。

―校門―
「よう、蓮弥。今日お前ん家行っていいか?」
校門の前では佐々木がまっていた。
「は?昨日もその前の日もきただろ?」
「毎日見ても飽きないんだよな〜。お前の姉さん」

確かに俺の姉は綺麗だと思う。
けど・・・。もう誰も姉に逢わせたくない・・・。
やきもちとか、そんなのじゃなくて。
なんだか最近・・・
姉の様子がおかしい。
体が弱くなってきてる・・・。
元気もなくなってきてる。
そう思うのは俺だけかもしれない。
気のせいかもしれない。
けど・・・。

「今日、来んな。」
「ひどい!!ひどいよ!レ・ン・ヤ〜」
「死ね」
会わせたくないのだから、仕方ないだろう。
訳を言えば言うでどうせ来るだろうし。
「今日はちょっと姉ちゃん用事あるから。」
「そうなのか・・・」
佐々木を置いて歩き出した。
それに佐々木もついてきた。
「なぁ、用事って病院とかじゃないのか?」
「違う。とにかく、こないでくれよ」
いつもと違う蓮弥に佐々木もそれ以上何も問わなかった。



帰り道

帰り道、すぐに帰りたくなかった蓮弥は寄り道をすることにした。
寄り道の途中には廃校の学校があった。

いつも薄暗いよな。
・・・あたりまえか・・・。

誰もいないはずの校舎から女の人が覗いていた。
目を凝らしてみると女の人は消えていた。

気のせいかな?

けど、前に行くことが出来なかった。
後ろ髪をひかれるように前に進めなかった。
無性にその中へ入りたくなった。
どうしてかわからないけど、どうしても入りたかった。
そう思った時にはすでに走り出していた。
入った事も無いのにそこへの行き方がわかっていた。
身が軽くなっていた。
そう感じただけなのかもしれない。

いつの間にか辿りついていた。
窓から顔を出した。

そこからの記憶が途切れた。

また、同じ夢を見た気がした。
どうしてもはっきりしない。
それにいらだってくる。
居心地が悪い。
どうにかして。
ここから抜けることは出来ないのか。
もう、どうにでもなれ。
勝手にしろ。
あきらめの言葉しか頭をよぎらない。
力が入らない。
だんだん意識も無くなっていく。

どうなっているのか?
死んでしまったのか?
今、何処にいるのか?

意識が、無くなった。



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