・四話・
すっかり夏を迎え、終わりの雰囲気を出している8月23日。
ここに来て、もう一ヶ月が過ぎた。
そして、夏休みも終わりを告げようとしている。あと、少しで終わる。
あと・・・24、25、26、27・・・・。
残すところあと8日。約一週間。
カウントダウンの始まり。

私はアイス棒を口にほうばりながら考えていた。
縁側に座って、奈々と元斗の楽しそうな姿を眺めている。すっかり生活には慣れて、この時代で暮らしても不便なーい、というほど。
でも、さよなら言ってないから一回帰りたいな〜と冗談混じりに思った。
「おまえも食ったらこっち来いよー?」
元斗は元気良くこちらにそう声をかけて手を振った。
うん!!と元気に返事を返して手を振り返す。
奈々も兄に習ってか、両手を振って元気に「お姉ちゃーん!!」という。
奈々の方にも手を振り返す。
そしてまた、物思いにふける。

あれ?そう言えば。
ふと浮かんだ疑問。
夏休み終わったら私ってばどうするのかな?
戻ったら受験の準備しなくちゃいけないしぃ・・・?
いやいや、かえれんのか?
むーん・・・。むむむむむ・・・。
だいたい、夏休みの間ここにいるわけじゃないし・・・。
ありゃーん?

そんな不安や疑問やいろいろなものを軽く抱えて。アイスを食べ終わる。
約束通り、二人のもとへ向かう。

太陽は一番高い位置に上りきって、帰り始めの位置についた昼下がり。
お昼ご飯のつるつるそうめんを食べ終わった私達は、近くの神社まで行くことにした。
そこは丁度いい温度で時折涼しい風が吹き抜けるらしい。

家を出て、その神社へ向かう。
妙に長い階段を一段一段軽快に踏んで、上まで登る。
神社には誰もいない。
目の前には広いスペース。
たしかに丁度良い温度で、時折涼しい風が吹いた。
髪の毛をそっと揺らして、ワンピースのスカートを揺らした。
なんて気持ちの良い風だろうか。

そんな場所で遊び始めた。
2時近く、近所の子供も集まり始めた。せっかくだ、ということで近所の子と騒いで遊んだ。
昔の遊びだが、なかなか現代ではやらないので楽しく感じた。
駄菓子を持ち合わせて、なんだか宴会のようだ。笑ってしまう。
鮮やかな色の駄菓子。
着色料何処まで使ってるんだ?家庭科で習った。
着色料は体に良くないと。赤の100番代は発ガン性があるとかないとか。
まあ、この時代の子はそんなこと習いはしない。だからお構いなしに食べるのだ。
今の子も気にしないで食べる奴は山ほどいるが・・・。それでも、今はマシに・・・。
いや、駄菓子屋が減ってきているだけだろうが。

何時の間にか、木々の隙間から差し込む太陽の光はオレンジ、赤へと変わっていた。
みんなは家に帰り始める。私達もそうする。

帰り道、影が長く伸びている。
来た頃の同じ時間帯より、長く伸びている気がする。
そして、日が暮れるのも少しだけ早くなった気がする。
虫達の種類も変わり始めてる気がする。
気のせい?

一匹のトンボが私達3人の前を横切っていった。
あの、なんとも言えぬ動きで。

「トンボ・・・」
私は一言口にしていた。それが聞こえたらしく、元斗が両手を頭の後ろで組んで言う。
「もう、秋も近いな・・・」
何気なく呟き合った一言どうしが、なんだかさびしく思えた。


そういば、ここに来たとき、迷子って言ったのに。
ここの住人になったみたい。
あれ?
なんでみんなそのことにあれ以来触れないんだろう・・・。

「ねえ、元斗?」
相変わらずのポーズで元斗はうん?と返事をした。
「あのさ、私って迷子で来たって言ったでしょ?でも、親は一生私を捜しにこないよ」
今までしていたポーズを崩して、どうして?そんな顔でこちらを向いた。
「私は、この時代の子じゃない。未来から来たんだよ」
兄妹二人はわからない顔をしていた。
「わからなくていい。ただ、私がいなくなっても探さないでね?」
私は真っ直ぐ前を見て呟くように言った。
「・・・いなくなるなよ」
元斗はそれだけを口にして、黙った。

家に帰って、奈々と一緒にお風呂に入った。
その後、食事をして部屋に戻った。
ドアを開けて真っ直ぐ窓に向かう。そっと窓を開けて星空を眺める。もう見慣れた夜空、星空。
初日、ここでこうしてこの空をみて自分がどうおもったのか、もう忘れた。どうでもいいから。
どうでも・・・。ここに居られれば。
なんとなく机に目を向けると、覚えのない紙。
開けてみれば元斗からのメッセージがかかれていた。

『初めておまえに手紙を出す。
はっきり言って、照れくさい!
けど、伝いえたいことがあるから、書く。
口じゃさらに恥かしくていえねえし・・・。だから、手紙だ!誰にも言うなよ?

おまえ、夕方「いなくなっても探すな」って言ってたよな?
どういう意味だかわからない。
未来から来たなんてのも信じられない。
おまえはおまえで、ちゃんと俺の前に存在するからわかんない。
ただ、言えるのは一言だ。
何処にも行くな。
絶対いくな。
親のもとに帰れないならそれでいい。
ここに居てくれればそれでいい。
だれも文句はいわねえ。
だから、たのむ。

絶対、絶対何処にも行かないでくれ。』

手紙の本文はここで終わってる。
追伸が書いてあった。

『明日、誰にも知られないように家を抜けて2時に神社に来い
絶対来いよ?』

明日、2時にあの神社へ・・・?


次の日。
私は、2時に誰にも気付かれぬように家を抜けて神社へ向かった。
あの階段を登る。知っている涼しい風が頬を撫でる。
登りきれば、そこには一人の少年――元斗の姿。
「て、手紙読んでちゃんと来たよ・・・?」
息切れして少々途切れ気味にそう言う。それを言ったら両膝に両手をついて下を向く。
息を整える。
「あ、あの手紙は捨てとけ・・・!!」
そのセリフを聞いて顔を上げようと思った。刹那。

チリン・・・。

音が鳴った。顔を上げればそこには風鈴がひとつ。
風鈴の絵柄はお世辞にもうまいとは言えない絵。だが、ぬくもりは感じられる。
「俺が描いたから汚いけど、受け取ってくれ」
そういえば、時々元斗は一人で家を出ることがあった。
まさか自分のためだったとは。
「え?これ、私に・・・?」
風鈴に手を伸ばそうとしてそのままのポーズで止まる。
「そうだよ。いらないなら別にいい」
私はそのままのポーズで顔だけを上げて元斗を見る。

彼女は綺麗な笑顔をふんわりと浮かべて
「ううん、ありがとう元斗」
と礼を言った。そして止まっていた手を伸ばして風鈴を受け取る。
少し赤くなった顔を冬実から外してそっぽを向いた。

風鈴はチリン、チリンと風の吹くたびになった。
くるくると、したの紙がゆれながら。涼しげな綺麗な音を立てる。
透明で綺麗。
絵柄はお世辞でもうまいと言えない。けど、彼の気持ちが息づいてる。
雰囲気はとても綺麗な絵。所々失敗した場所もある。そこがまた素敵。
彼らしくて。彼の力強さが感じられる絵。
世界にひとつの、彼女のためだけに彼が作った。
たったひとつの風鈴。価値はないかもしれない。
それでも、大切な、世界で一番素敵な風鈴。
風鈴はチリン、チリンと涼しげな音を立てる。


「二人とも何処行ってたんだ?奈々が一人で寂しそうだったぞ?」
おじさんは私と元斗にそう問う。
私は元斗と顔を合わせて少しだけ笑って。
「二人で二人だけの思い出作ってた。鬼ごっことかで・・・?」
二人は口をそろえてそう言って笑う。
もう二度とできないことだけど。
一番の思い出。


彼女と彼は両思いでした。
彼女と彼は時代が違いました。
彼女と彼は初恋でした。
彼女と彼は一生このままでいたいと願いました。
彼女と彼は・・・。




・・・・・・・
「あー!!麦藁帽子忘れちゃったあ!?」 そういって私は家を飛び出した。 神社にたどりつくと、ひっそり寂しそうに麦藁帽子が待っていた。 青い影を帯びて。 急いで駆け寄って帽子を手に取ると頭にかぶせた。 くるりと階段の方に向いて、自然にこぼれた笑顔で階段を軽快なリズムで降りていく。 足の下に、階段は感じられなかった。 そのまま私は階段を落ちていった。 原因は、良く見えなかったのに油断して降りたから。 階段が続く限り落ちていく。 石の階段。 体のあちこちを強打して落ちていく。 私には永遠に続くように思えた。 漆黒の闇の中に、赤い血を流しながら落ちていく。 きっとそう。だってもう、痛みがないから。 相当のものだ。 チリン・・・。 チリン・・・。 チリン・・・。 起きあがれば自室のベッドの上。 窓際につるされた風鈴が風に吹かれて鳴っていた。 自室。自室、現代の、もともの私の部屋のほう。 ということは・・・? ということは、私は・・・。戻ってきた・・・? はっとして、両手両足、体のあちこちを見た。 怪我は・・・。 ない・・・!? ということは・・・夢だったの・・・? ベッドから上半身をおこしたまま、私はしばらく考えていた。 ドアの開く音がして、ふと我に返る。 母が入ってきた。 母は、私の顔を見るなり止まってその場に崩れ落ちた。そして大粒の涙を流していた。 どう言うことだろうか・・・。理解できずにいた。 「お母・・・さん・・・?」 母はやっと立ち上がったと思ったらすぐに私を抱きしめた。 どうしたの?そう聞くと母はそうっと私の体を開放し、落ち着くまで涙を押さえていた。 おさまったところで、母は重く閉じたその口を開いた。 「・・・覚えて、ないのね?」 私は、7月23日出かけたという。 いつもは7時には帰ってくるのに、私は帰ってこなかったという。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 8時まで待ったがやはり帰ってこないので心配になった母は私の携帯にかけようと電話の前に立った。 刹那、電話は五月蝿い音を出してなり始めた。 母は私かもしれないと思って急いで電話に出た。 その声は私ではなく、聞いたことのない男性の声。 「古崎 冬実さんのお母さんですか?」 ―は、はい 「落ち着いて聞いてくださいね? 冬実さんは神社の階段から足を滑らせて落ち、頭を強打しました。」 ―え!!?と、冬実が、ですか!!!? 母は涙交じりで口を押さえながらそう言った。それが精一杯だったと言う。 「落ち着いてください、大丈夫です。命に関わるような大事にはいたっていません。 生きてますよ。」 ―・・・生きてる・・・ですね・・・・? 母は受話器を落としそうになるほど力を緩めていた。 大粒の涙が途切れることなく頬を伝わった。 母は言葉が途切れてこんな言葉になった。それもまた、精一杯のこと。 私は病室で眠っていた。 全身打撲や擦り傷などの傷を負いながら。 頭には包帯が巻かれていた。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ そして私は今日まで寝ていたらしい。 無論、私にそんな記憶はない。 「お母さん、今日何日?」 母は涙をぬぐいながらカレンダーを見て 「8月24日よ?」 永い眠り。 でも、私はその間昭和30年の世界にいた。 元斗がいて、奈々ちゃんがいて、おじさんもおばさんもいた。 お世話になったよ。 ちゃんと。この手で触った。 食べ物も食べたし。飲み物も飲んだし。 日焼けもしたし、水にも触れたし。 遊んだし。花火も見た。 ちゃんと、あの時代にあの時間だけ生きた。 なのに、なんで私はずっと布団の中にいた話になってるの!!? 夏休みの最終日。 私が落ちたという神社に向かった。 その神社は見覚えがあった。というより、今はもう使われていない神社。 麻奈恵の相談を受けた場所。 私が誘った場所。 そして―――・・・。 元斗と奈々と遊びにきたところ。 多少、工事やら道路の都合で変わった場所があるが、確かにここだ。 ここで、風鈴を受け取ったのに・・・。 その風鈴をこの時代に持ってくることができない。 いや、きっと夢。 夢。 夢・・・。 そう思えば涙は頬を伝わって下へと落ちる。 まだ、まださよなら言えてない。 会いたいな・・・。 さよなら言いたいな・・・。 もう一度ありがとう言いたい。 もう一回だけ。 もう一回。 たった一度でいい!! 会いたい、会ってお礼がいいたい!!! さよならが言いたい!! 涙は途切れることなく頬を伝っていく。 その場に崩れ落ちて、泣きつづけた。 ―冬実・・・?― 元斗の声が聞こえた気がした。 「冬実・・・」 振りかえればおじいさんが一人。 見たことない人だった。 けど、私を知っているこの人は・・・。 「元斗・・・?」 するとおじいさんは満面のしわくちゃの笑みでうなずいた。 おじいさんはあの日以来、毎年8月24日はこの神社に足をはこんでいたという。 それらしき少女は来たことがなかった。 そして、今日やっと来た。 「未来から来たのは、本当じゃったんじゃのう」 木陰の座れる場所に腰を下ろして話を聞いていた。 あの時、あれだけ生意気そうな口を利いていた元斗は今はこんなに老け、あの時の元気はない。 奈々は結婚をして、すっかりおばさんをしているという。 元斗はと言うと。。。 「おい、じいさん、また今日も来てた―――」 その少年は私の顔を見てそこで言葉をとめた。 少年は私の目の前にやってきた。そして、顔の見える場所まで来たとき。 「って・・・龍真(たつま)!?」 その少年は私の幼馴染になりかけの男。そして私のニックネームを定着させた男。 清松 龍真(せいまつ たつま)であった。 「よ、ふゆー。じいさんと何はなしてんだ?」 「何って・・・」 口篭もった。こいつに説明したところで馬鹿にされておわる。 そんな私の様子を知ってか知らずか。 「じいさん、その歳でナンパか?」 「そんな事するわけがないじゃろうが」 元斗は龍真に向かって「風鈴の子じゃ」といった。 風鈴を置いてどこかへいってしまった私の話は、どうやら「風鈴の子」として教えられてきたようだ。 そのことは龍真にも伝わっていた。 「あれ?ちょっとまって・・・?龍真のおじいさん・・・!!?」 龍真はひとつため息をついて。 「当たり前だろ?血のつながった関係。俺がこのじいさんの孫」 でも、苗字ちがうじゃん。と呟くと、元斗は理由を話した。 元斗が結婚間近におじさんとおばさんは離婚したらしい。母親が元斗と奈々を引き取った。 おばさんの苗字になったため苗字が変わったらしい。 しかもこの龍真、母親似なので一目では元斗の孫とはわからなかった。 家に案内された。 龍真とはよく遊んではいたが、家に言ったことはない。 チリン・・・。 風鈴が鳴った。見れば、美しい絵柄の入った風鈴があった。 元斗はそのまま部屋の奥にいって箱を取り出した。 開ければそこには 元斗が私のために作ってくれた世界にひとつだけしかない風鈴・・・。 元斗はそれと、ぼろぼろになったあの手紙も取り出した。 その二つがどうしても渡したかったらしい。何があってもそれだけは守り抜いた。 そんな品を、改めてこんな私がもらって言いのだろうか? いいや、私がもらってあげなくちゃ元斗の気持ちは崩れてしまう。 私は元斗からその二つを受け取った。 そんな時は経ってない。私の中だけど。 長年会ってなかった人にあった気分だった。その風鈴に触れれば私はまた、涙を流す。 元斗からの贈り物である風鈴は長い年月を経て、風を受けてチリンとなった。 あのときの、あのままの音を彼女と彼とそして龍真に聞かせた。 「もうこんな時間だからな・・・送ってやる」 龍真は私の後ろについた。 「別にいいよ」 そういって足を速めた。 「たのむからさ、送らせてくれよ。話したいこともあるんだし」 そうは言ったものの、龍真は黙ったまま。 もうそろそろ家に着く。 そんなとき、やっと口を開いた。 「じいさんさ、ふゆに一回会ってから死にたいって言ってたんだよ」 私は無言のままその話の続きを聞いた。 「なんで、もっと早く会えなかったんだろうな・・・」 じいさん、あと数ヶ月の余命食らったんだよ。 ぎりぎりで会えてよかったのかもしれねえけど。 でも、そんなのじいさん可哀想だ。 なんで早く・・・なんでもっと早く・・・。 それに・・・。 「孫ってのは似るのかねえ?」 いつもと声のトーンを少し変えて言った。 俺も、ふゆの事好きだったなんてさ・・・。 耳を疑う言葉。 そんなのありか? 私はさ・・・。私はさああああ!! 「あーもー、へ、変なこといわないでよ!!」 「へ、変とか言うな!!恥かしいんだぞ!!?」 しばらく無言が続いた。 自分の気持ちは・・・? 好きなのは・・・元斗?でも、その元斗は今はおじいさん。 で、乗り換えてこいつと・・・? でも・・・。 「今考えれば。私も好きだったかも・・・龍真のこと・・・」 そういって私は走って逃げた。 「あ、言い逃げか!!?」 「はあ?何言ってんの!?答えでしょー?」 走りながらそう言い返した。 すっごく恥かしいんですけど・・・。 それでも、今の、現在の彼女と彼は笑っていた。 相手は違っても、気持ちは同じ。 良くわからないこの気持ち。 でも、きっとこれが好きって気持ちで、これが運命で。 これで、良かったんでしょうか、神様・・・? ・終章・ ―今までお世話になったよ、ありがとう。そして・・・。 さよなら これだけ言いたかった。口から言えなかったけど。これで伝わると嬉しい― 少女は秋を迎えた空に、紙ヒコーキを飛ばした。 届いてくれれば、うれしいな。 そう願って。 紙ヒコーキは少女の視界から消えると、光を帯びて消えていった。 そして紙ヒコーキはもう一度光を帯びて、今度は少年の前に現れた。 少年はその紙を拾って、読んだ。 それは、自分宛てだとわかると、秋の空に一言 さよなら と呟いて家に帰った。 2003年冬 元斗は永眠したという。 マクラの下には、少女から――冬実からもらった紙ヒコーキの手紙が置いてあったという。 もう、黄ばんだ紙。でも実は新しい紙。 そこには不思議な矛盾がひとつあって。 そのことをお葬式で冬実は知った。 そして、伝わってたんだね。でも、それでも探してくれていてありがとう。 もういちどお礼をいって、涙は流さなかった。 笑顔で送るために。 冬の窓辺。 チリンチリンチリンチリンチリン・・・・・・・・ 風鈴は冬の風に吹かれて五月蝿くなった。 冬実はその風鈴を手にとって、箱にしまった。 来年の夏まで、おやすみなさい。 風鈴は箱に入れられ、机の引出しにしまわれた。 少年は毎年、7月20日には玄関前で一日待っていて、8月24日には神社で一日待っていた。 少女を探して。 あの夏を探して・・・。
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